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【Factに迫る!】「キャリアオーナーシップ」について

【Factに迫る!】「キャリアオーナーシップ」について
目次

【Factに迫る!】『キャリアオーナーシップ』について

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前回、『非認知能力』に関連した『レジリエンス』について紹介いたしました。
今回、読者の反響から、「キャリアオーナーシップ」について、スポットを当ててみます。
「キャリアオーナーシップ、個人の成長と企業の成長」と「個人のキャリアオーナーシップ、リファラル採用、アルムナイ採用」について紹介します。

①「キャリアオーナーシップ(個人の成長と企業の成長)」

経済産業省は「人材力研究会報告書」にて、キャリアオーナーシップ(個人の成長と企業の成長)について提唱しています。(図1)
 
キャリアオーナーシップ(個人の成長と企業の成長)
(図1)著者作図
引用:経済産業省 人材力研究会報告書
 
「キャリアオーナーシップ」とは、個人が自分の「キャリア」に対して主体性を持って取り組む意識と行動のことです。
激変するVUCA時代、個人と企業が持続的な成長を実現するために必要なキーワードです。

 

個人のキャリアオーナーシップとしては、キャリアの棚卸し、振り返り、リスキリング等、例えば、プロティアン・キャリア*で云うビジネス資本、社会関係資本、経済資本の整理整頓にあたります。

 

また、キャリア権の確立を、簡単に一言でいうと「どこでも活躍できる力」になります。

 

「キャリアオーナーシップ」を持つ個人は、主体性を向上させ、自らの「持ち札」を増やすことでキャリアを切り拓いて行くことになります。

 

そして、個人がどこでも活躍できるようスキルアップをすることが「日本全体の生産性向上や経済成長」に寄与します。

 

一方、企業は効果的な人材確保を通じて多様な人材が活躍できる場を提供するプラットフォームとなることで、はじめて成長し続けることが可能になります。

 

これからの企業は、外部に自社の「見える化」「魅せる化」いわゆる戦略的コミュニケーション力によって優秀な人材を確保することが必須になってきています。

 

これらのことから「個人の主体性・モチベーションの向上」と「企業へのエンゲージメント向上」の両輪を回すことにより、個人と企業の成長のベクトルをすり合わせ、生産性の向上が実現可能となります。

 

これが、個人と企業のサステナブルな成長、そして企業価値向上へと繋がります。
 
*既寄稿『サステナビリティ・トランスフォーメーション』(2023.2.1)
「キャリアディベロップメント、プロティアン・キャリア」参照

②「個人のキャリアオーナーシップ、リファラル採用、アルムナイ採用」

昨今、労働市場の流動化に伴い、企業において、優秀な人材獲得のため様々な取組みが為されてきています。

(図2)

 

キャリアオーナーシップ(個人)
(図2)著者作図
 
2024年3月の春闘では5%を超える高い伸びの賃上げがありました。
この背景にあるのは、この数年、コロナ禍で潜在化していた人手不足が、コロナ後、一気に顕在化してきたことにあります。
また、2024年4月からの建設、運輸、医療等の残業規制により、さらなる人手不足が顕在化してきました。

 

これらのことから、日本の労働市場では、いわゆる「人材の奪い合い」が起きて来ているのが現状です。
この人材の奪い合いが賃金上昇を引き起こしています。
企業の立場からすると、優秀な人材を確保し、企業競争力を向上したいことが読み取れます。

 

その中で、近年注目されているのが、リファラル採用、アルムナイ採用です。
リファラル採用とは、自社の社員から友人や知人を推薦・紹介(referral)してもらう方法です。

 

メリット、デメリットがありますが、メリットとしては、自社の「魅せる化」を社員から友人・知人にアピールすることでその自社の社員そのものにエンゲージメント度の向上が見込めることです。
一方、友人・知人のメリットはその企業のパーパス、ビジョンや仕事の内容、ジョブ型などの情報が得られることです。

 

アルムナイ採用とは自社を退職したヒトを再度、雇用する方法です。カムバック採用とも言います。アルムナイとは英語で卒業生(alumni)のことです。
アルムナイネットワークを形成し、人材採用に取り組むプライム企業もあります。

 

アルムナイ採用のメリットとしては自社の社風やパーパスをすでに理解していることです。
一旦、社外に出てさらにスキルアップしキャリアオーナーシップを持ったビジネスパーソンを採用できることもあります。

 

個々のビジネスパーソンの視点からすると、リファラル採用やアルムナイ採用にしても、今まで以上に労働市場の流動化に適応するため、「どこでも活躍できる力」で、持ち運びできるポータブルなスキルを持ったキャリアオーナーシップの意識を持つことが大切ではないでしょうか。

 

また、ビジネスパーソンの立場からすると、企業・組織という箱が成長し続けていれば、その箱と同等かそれ以上のキャリアの成長が望めるかもしれません。なかには、箱を渡り歩いて成長し続ける個人もいるかもしれません。

 

近年の経済学研究によれば、幸福感を決定する要因として、健康、人間関係、に次ぐ変数として、所得、学歴、よりも「自己決定」が強い影響を与えることが分かってきました。
《独立行政法人経済産業研究所:幸福感と自己決定-日本における実証研究(改訂版)》

 

ちなみに、この自己決定、主体性に関連した既寄稿コラム『非認知能力』の読者の反響にて、若者で流行っている「MBTIタイプ診断」を紹介して頂きました。自身の顕在化されているもの以外の、潜在的な『非認知能力』を知る手がかりになるかもしれません。

 

VUCA時代のエクセレントビジネスパーソンは、自身で「選択」し、「自己決定」できる主体的な「キャリアオーナーシップ」をもつことで、「ありたい姿」である未来の価値を創造し、自分らしい「ウェルビーイング」に近づける可能性が高まります。

③最後に

医薬品・医療機器企業はこれから、「キャリアオーナーシップ」を戦略的に活用し、自社を「トランスフォーメーション」し、持続可能(SDGs)な国民皆保険を含めた社会保険制度維持に貢献していくべきと考えます。

2024年5月
文責:ニプロ株式会社 山口博人(日本FP協会会員AFP)
 
参考情報
〇『レジリエンス』:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『非認知能力』:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『ファイナンシャル・ウェルビーイング』:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『イノベーションと無形資産』について:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『非財務情報可視化』について:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『2023年ノーベル経済学賞、ノーベル生理学・医学賞』について:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『リスキリング(鳥の目、虫の目、魚の目)』について:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『三位一体の労働市場改革』について:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『女性活躍推進』について:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『次世代育成支援対策』について:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『AI戦略』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
〇『PBR革命』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
〇『日本版ジョブ型』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
〇『Society5.0』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
〇『ウェルビーイング・マーケティング』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
〇『サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
〇『インパクト加重会計』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
〇『KPI経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
〇『価値創造経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
〇『ムーンショット経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
〇『人的資本経営(パート3)』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
〇『人的資本経営(パート2)』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
〇『人的資本経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
〇『ウェルビーイング経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
〇『VUCA時代経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
〇『パーパス経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
〇『ESG経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia