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【Factに迫る!】「マーケティング・イノベーション」について

【Factに迫る!】「マーケティング・イノベーション」について
目次

【Factに迫る!】『マーケティング・イノベーション』について

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参考:https://www.jga.gr.jp/policy.html

 

前回、『人材バランスシート』について紹介いたしました。今回、読者の反響から、『人材バランスシート』に関連した『マーケティング・イノベーション』について、スポットを当ててみます。
『マーケティング・イノベーション』と『マーケティング・イノベーション(個人)』について紹介いたします。

① 『マーケティング・イノベーション』

既寄稿『ウェルビーイング・マーケティング』(2023.03.01)で述べたようにマーケティングはイノベーションに欠かせません。
今回、ハーバードビジネスレビュー(HBR)の論考からマーケティング・イノベーションについて紹介いたします。(図1)

マーケティング・イノベーション

(図1)著者作図引用:
ハーバードビジネスレビュー2021年4月号特集イノベーションの法則

元ネスレ日本社長で、現ケイアンドカンパニー代表取締役 高岡浩三氏はHBRの論考にて、マーケティングとは、「顧客の問題解決によりもたらされる付加価値を創出するプロセス」とし、イノベーションとは、「顧客に認識されていない、もしくは解決をあきらめている問題を解決すること」、そして、「イノベーションは市場調査では生まれない」と述べています。

 

この「イノベーションは市場調査では生まれない」は、かつて、iPodやiPhoneが世の中に出てきた時のことを想像すると分かり易いでしょう。多くの顧客に市場調査をしても、調査には「iPodやiPhoneが欲しい」とは表れないからです。

 

高岡氏は論考の中で、マーケティング・イノベーションの方法として、NRPS法を提唱してます。
NRPSとは新しい現実(New Real)、新しい顧客の問題(Problem)、問題のソリューション(Solutions)です。
最も大切なのは、顧客の問題を発見する能力です。

 

例えば、新しい現実として、職場でのひととき(コーヒー)を取り上げ、新しい顧客の問題として、おいしいコーヒーが飲みたいであろうとのニーズを捉え、問題を解決(ソリューション)する方法として、職場のアンバサダー制度の仕組みの提供です。

 

また、この仕組みには、無償のアンバサダーに対する職場での「ありがとう」感謝の念である、エモーショナルな点も大切な仕掛けになります。
問題解決の過程で、コトラーMkt5.0*にあるようなマズローの欲求段階説、自己実現、自己超越にもあるような、心の琴線に触れるビジネスモデルを提供しています。

 

そして、この問題解決のため、どのようなソリューションを提供できるかが、マーケティング・イノベーションであると述べています。

 

これからの企業にとって、イノベーションは不可欠です。「マーケティング・イノベーション」
によって、市場価値を創造することが必須になってきています。

 

これが、企業のサステナブルな成長、そして企業価値向上へと繋がります。

② 『マーケティング・イノベーション(個人)』

既寄稿『キャリアオーナーシップ』(2024.06.01)の読者の反響から、個人の「マーケティング・
イノベーション」について紹介いたします。(図2)

マーケティング・イノベーション(個人)
(図2)著者作図

著者に読者から「強みをもつにはどうしたらよいですか?」との質問が時々ありますが、既寄稿『VUCA時代経営』(2022.05.10)「未来予想図」にあるように、比較優位の概念から、強みはだれもが持っています。

 

自分らしさ、好きなこと、好きな食べ物等々ヒトそれぞれ個性があります。働く上で大切にしていることや価値観もヒト様々です。
我慢強い、反応が早い、じっくり考える、慎重、大胆、突破力がある、等々個々の能力には裏表もあります。
自分の特性を分析した上で、自分らしく伸ばしたい強みを創って、スキルを積み上げていくことが大切です。

 

自分が伸ばしたいスキル・知識・能力を組み合わせれば、より強みを持てるようになってきます。
(〇×△×□=個人の強みの組み合わせ)
強みの組み合わせはブレイクスルー、イノベーションの源です。

 

既寄稿『ウェルビーイング・マーケティング』*にあるようにクリエイティブなマーケティング人材はイノベーションの源泉です。

 

マーケティングの泰斗であるコトラー教授は、マーケティング・マネジメントとは、「ターゲット市場を選択し、優れた顧客価値を創造、提供、伝達することにより、顧客を獲得、維持、成長させる、アートでありサイエンスなのである」と定義しています。
《コトラー&ケラー&チェルネフ マーケティング・マネジメント 原書16版 丸善出版》

 

ビジネスパーソンは、個々人、自分自身の強みの組み合わせによって、優れた価値を創造し、マーケティング・マネジメントすることで、個々のイノベーションにつながります。

 

これは経済学者のシュンペーターのイノベーション** ―既存のアイデアや仕組みの異なる組み合せである新結合―とも強い親和性があります。

 

VUCA時代のエクセレントビジネスパーソンは、「マーケティング・イノベーション」によって、「ありたい姿」である未来の価値を創造し、自分らしい「ウェルビーイング」に近づける可能性が高まります。
 
*既寄稿『ウェルビーイング・マーケティング』(2023.03.01)参照
**既寄稿『イノベーションと無形資産』(2024.02.01)参照

③ 最後に

医薬品・医療機器企業はこれから、「マーケティング・イノベーション」を戦略的に活用し、自社を「トランスフォーメーション」し、持続可能(SDGs)な国民皆保険を含めた社会保険制度維持に貢献していくべきと考えます。

 

2024年7月
文責:ニプロ株式会社 山口博人(日本FP協会会員AFP)

 

参考情報
〇『人材バランスシート』:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『キャリアオーナーシップ』:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『レジリエンス』:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『非認知能力』:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『ファイナンシャル・ウェルビーイング』:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『イノベーションと無形資産』について:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『非財務情報可視化』について:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『2023年ノーベル経済学賞、ノーベル生理学・医学賞』について:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『リスキリング(鳥の目、虫の目、魚の目)』について:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『三位一体の労働市場改革』について:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『女性活躍推進』について:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『次世代育成支援対策』について:日本ジェネリック製薬協会JGApedia
〇『AI戦略』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
〇『PBR革命』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
〇『日本版ジョブ型』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『Society5.0』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『ウェルビーイング・マーケティング』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『インパクト加重会計』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『KPI経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『価値創造経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『ムーンショット経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『人的資本経営(パート3)』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『人的資本経営(パート2)』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『人的資本経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『ウェルビーイング経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『VUCA時代経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『パーパス経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia
◯『ESG経営』について:日本ジェネリック製薬協会 JGApedia