【Factに迫る!】『金融リテラシー』について
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前回、『マーケティング・イノベーション』について紹介いたしました。今回、読者の反響から、『ファイナンシャル・ウェルビーイング』に関連した『金融リテラシー』について、スポットを当ててみます。
『企業の金融リテラシー』と『個人の金融リテラシー』について紹介いたします。
(金融リテラシー:お金に関する知識を持ち、主体的に判断できる能力)
①『企業の金融リテラシー』
既寄稿『ファイナンシャル・ウェルビーイング』(2023.03.04)で述べたように、ファイナンシャル・ウェルビーイングは、従業員エンゲージメントを高め、人的資本の価値を向上させます。(図1)
(図1)著者作図
引用:経済産業省 人的資本経営の実現に向けた検討会報告書~人材版伊藤レポート2.0~
企業が、金融経済教育の研修を提供することで、従業員の金融リテラシーを高め、従業員のウェルビーイングが向上することがわかってきています。
この従業員のウェルビーイング向上が従業員エンゲージメントに資することは云うまでもありません。
このように企業は、「ヒトに投資をしなければ事業は継続できないし、成長できない」と気づいていく方向に、世の中は向かっています。
人的資本経営に取り組まなければ、「企業の長期的な未来がない」との企業の意識改革が大切です。
また、投資家目線から言えば、「従業員への金融経済教育等の研修に資金をかけて、人材育成に熱心な企業ほど経営計画の実現性が高い」、「従業員のウェルビーイング向上を経営目標としている企業ほど成長する」と投資家はみなしています。
社員の幸福は成長の源泉です。
まさに、金融リテラシー向上を含めた人的資本への投資が、企業のサステナブルな成長、そして企業価値向上へと繋がります。
②『個人の金融リテラシー』
作家・金融教育家の田内学氏は、いま必要な金融教育として、個人のお金が社会とどのようなつながりがあるか、お金を通しての「個人と社会の関係性」について述べています。(図2)
(図2)著者作図
引用:きみのお金は誰のため 田内学[著] 東洋経済新報社、読売新聞2024年6月23日朝刊
「お金の価値を裏付けになっているのは、誰かの役に立ち、働く人々の存在であること」「お金が経済や社会を支えているのではなく、お金という道具を介して、われわれは支え合っている」 と述べられています。
そして、米国のお金の教育例として、子供に家の前でレモネードを売る体験をさせて、「どうすれば、みんなが喜んで買ってくれるか」から教育を始め、「お金は人の役に立てばもらえる」ことを理解した米国の学生は、誰かの役に立つモノやサービスを生み出すために起業し、「投資される側」になろうと考えるようになる、とのことです。
これらのことは、まさに、前寄稿『マーケティング・イノベーション』で述べたコンセプト 「ウェルビーイングな顧客価値の創造」になります。
また、若い人まで「賢く増やす側」に回る社会は成長しませんと 述べられています。
一方、さわかみ投信創始者の澤上篤人氏は、お金の美学を追いかけて~お金を回してより良い世界に~と題して、「カッコいいお金の使い方」として、個々人が、長期投資で金銭的な自立を達成したうえで、「世の中に役立つお金の使い方を実践し、それを見た次の世代もそんなお金との付き合い方に憧れる」世界にしたいと述べられてます。
《日本経済新聞社 2024年6月23日朝刊》
これからのビジネスパーソンは、個々人、金融リテラシーの向上によって、「カッコいいお金の使い方」を実践することによって、自分自身の「人材バランスシート」*を殖やし、自身をマネジメントすることで、個々のイノベーションにつながります。
VUCA時代のエクセレントビジネスパーソンは、「金融リテラシーの向上」によって、「ありたい姿」である未来の価値を創造し、自分らしい「ウェルビーイング」に近づける可能性が高まります。
*既寄稿『人材バランスシート』参照
③最後に
医薬品・医療機器企業はこれから、「金融リテラシー」を戦略的に活用し、自社を「トランスフォーメーション」し、持続可能(SDGs)な国民皆保険を含めた社会保険制度維持に貢献していくべきと考えます。
文責:ニプロ株式会社 山口博人(日本FP協会会員AFP)