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月刊JGAニュース

東京五輪2020を観戦し、現実を振り返る  

 東京五輪2020が1年遅れで開催された。開催までの道のりには紆余曲折があったが、たとえ無観客であっても開催できてよかったと個人的には思っている。それは、約2週間の大会ではあったが、世界中のトップアスリート達がこの大会のために国の代表という大きなプレッシャーの中、様々な困難を克服し、練習に励み戦ってきた、まさにオリンピズムの人生哲学を垣間見ることができたからである。

 メダルを競い合うアスリート達ではあるが、競技が終わった後のインタビューに応じた一つ一つの言葉に感動させられた。特に私が印象的に残っている言葉は「このような大会に立たせてもらってありがとう」という感謝の気持ちを多く聞かされたことであった。

 また、「切磋琢磨しながらも相手を尊重し、たたえ合う」行動もたくさん見ることもでき、スポーツマンシップの精神やスポーツ・アスリートの真価に心を動かされた。トップアスリートとして生きていくその重圧は私には計り知れないが、毎日長時間の猛練習によって人を思いやる、感謝する心が自然に形成されていくのだと感じた。

 製薬産業も医薬品があって、その医薬品を患者さんに使ってもらって成り立つビジネスである。私もその中で生かされているのだと思うと複雑な思いがある。
 
 次頁は総務省の1964年と2021年度の東京オリンピック開催時の日本の人口や経済等の統計調査結果である。日本はこの半世紀で人口・世帯構成、貯蓄・負債、平均賃金、物価、経済指標(GDP)、食料自給率、医療費等大きな変化を遂げてきた。

 65歳以上の人口割合は約6%から約29%。出生率は約2人から約1人。我が国は確実に超少子高齢化が進んでおり、また平均寿命も延びていることを考えると今後社会的弱者の増加も深刻となる。

 1964年の東京五輪はまさに発展途上国家での開催であったが、今回は一転して成熟国家での開催となった。東京五輪2020により日本にもたらされる効果はどんなものなのか。これまで成長産業だった日本のジェネリック業界も今や成熟期に入り今回の東京五輪とどこか重なるところがあるような気がしてならない。

(K.M)
 

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